私の幸せな身籠り結婚
幼き子供の言うことは時に大人よりも残酷で、私の心は抉れた。この時の私は、自分は欠陥品なのだと、そう思い込んで生きていた。
『七海、今日からお前に剣術を教えてやろう』
そんな私に、父がある日優しい顔をしてそんなことを言ってきた。その顔は、酷く気味が悪かった。
何を考えているのか分からない暗く濁った瞳で見つめられ、私はただ頷くしかなかった。
父の機嫌がいい時は、大抵良くないことが私の身に起こる。
『これがお前にやる刀だ。大切に使いなさい』
渡された刀は重かった。屋敷の庭の草木がキラキラと陽光に反射した透明の刀に映えていて、それがこの上なく美しかった。
私はその日から木刀を使い体を鍛え始めた。父が私に与えて下さったんだ、認めてくれる最後の機会を……。
そう思いながら、私は早朝から晩まで体が疲れていることも構わずに鍛え続けた。
そんな私を、弟妹たちはこっそりと草の陰から覗き見て、嘲笑っていた。