私の幸せな身籠り結婚
自分が祖国の反逆者となろうとも、今はそんなことなどどうでも良かった。
私は颯霞さんの重すぎる愛に深く深く溺れていって、やがて息も出来ないくらい苦しい愛に、愛おしさを覚えてしまうのだろう。
「颯霞、さん……っ。私は、貴方のことを深く、深く愛しております……っ、」
いつか、この恋は終わってしまうかもしれない。自分の全てを捧げてもいいと思えた男性に棄てられてしまうかもしれない。
それでも、今だけは……。熱なんていう理由には逃げないで、堂々と颯霞さんと繋がっていたいと思った。
────ごめんなさい。
私の“本当”の、お父様とお母様───……。
貴方方は私のことを憎んでいらっしゃるのかもしれない。それかもう、私のことなど忘れてしまっているのかもしれない。
小さい頃に両親と離れ離れになった私も、二人の顔に深い霧がかかってしまったようにしてうろ覚えだ。私の新しい両親は、本当に冷たくて、酷い人たちでした。
幼い頃の記憶が殆どないままこの国に連れてこられた私は、義父が本当の父親であると洗脳されてしまっていたのです。
父が本当の父親でないと知ったのは、私が十六の時でした───。