私の担当医。

13.意思の尊重



「こっから大事な話なんだけど
前、腎生検って検査したの覚えてる?」

あーあの海斗の機嫌悪い中やらされた検査ね。

うなずいた


「その結果、お世辞でも良いと言えない結果だった。服薬でもちょっと厳しい。今回、ちゃんとご飯も食べて薬を飲んでたのにしんどくなって運ばれたのは低血糖ではなく持病が悪くなったのが原因だと思ってる」

「...」

「俺はそろそろ人工透析に踏み込むしかないと思ってるんだけどすずはどう?」

病気の治療として聞いたことあるけど
全く視野になかったせいか詳しくは知らない

「わからない」

「週に3回、1回4時間、体内の血液を綺麗にする治療で副作用は出る人と出ない人がいる。」

「なんか怖い」

「明日、見学にでも行ってみる?どんな感じか」

「ちょっと考えたいから待って。」

自分でも調べる時間が欲しかった
メリットやデメリット


「なるべく早く始めたい。シャントっていう管を手術で作らないといけないから」

「手術するの?」

「血管を作る簡単な手術」

「嫌だやらない」

手術という言葉で反応して答えてしまった
海斗が少し悲しい顔ををしたように思えた。

「1時間半くらいの手術だよ」

「手術は手術でしょ、やんない」

「はぁ...」

大きなため息をつかれた
だってやりたくないことはやりたくないもん
仕方ないじゃん

「そんな大きなため息つかないで...」

「すずのイヤイヤはどうやったら治るのか。難しいなぁと思って...」

「もう寝るね。」


困らせたくてイヤイヤ言ってるわけじゃない
まだ完全に恐怖感を取り除けないだけ。

私だってどうしたらいいかわからないよ。

1人で考えたくて話を遮ってベッドに向かった


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