私の担当医。
「すずちゃん」

真由さんだ。

「熱出たんだって?しんどいよね、大丈夫?」

「...」

「どうしたの?」

「検尿...してこい...って」

「先生は?」

「わからない、どっかいった」

「えーどっか行った?ありえない。
一緒にトイレまで行ってあげるよ、行こう。」


「行きたくない。怖い...」

「大丈夫だよ、バイ菌いないかみるだけだから」

「逃げていい?」



「ダメに決まってんだろ、早くしてこいよ」

後ろから海斗の声が聞こえた。

「今からちゃんと行こうとしてるんだよね。」

真由さんがフォローしてくれる。

「逃げたら強制入院な、検尿して処置室集合。さっき嘘ついたこと忘れんなよ。これ以上、信用をなくすことするな」

「嘘ついちゃったの?」

真由さんが小声で聞いてくる。

「うん。熱あるのバレたくなくて」

「あちゃーそれはまずいね
ちゃちゃっと出しておいで。私トイレ前で待ってるから。」

真由さんがついてきてくれてなんとか検尿を出せた。

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