私の担当医。
「ここだと話せる?俺の秘密基地」
何階かわからないけど
景色が綺麗な部屋。
かなりの上層階
ソファ、テレビ、ローテーブル
病室じゃなく誰か住んでそうなマンションの一室のよう。
この部屋に入ると病院という感じが全くしない。
「なんか飲む?」
慣れた手つきで部屋の冷蔵庫を開ける
なにこの部屋はなに
「お茶あれば...」
「おっけい。ここだと誰も入ってこない。誰にも聞かれず済む、ゆっくりでいいから話して欲しい」
私は車椅子からソファに促されて座った
その横に橘先生もお茶を用意してくれて座った
「寒くない?」
急な優しい声がまた私を惑わせる
「...わかった、話すから。
話したら点滴しないで」
「約束はできない...でも原因がわかれば気をつけることはできるかもしれない」
「...」
「すず、俺はすずの味方だから大丈夫。
何があってもすずのそばにいるよ。」
その瞬間、涙が止まらなくなった
2人きりで誰にも見られてない
誰にも聞かれない場所。
泣くのも頼るのも全て全て我慢していたが
スイッチが切れて大声で自分でも驚くほど泣いていた
橘先生は隣でそっと私の肩を抱いてくれた
お母さんが亡くなってから
人からの優しさを忘れかけてた私
優しくしてくれる先生。
味方になってくれる先生。