そして消えゆく君の声
 ……どのくらい眠っていたんだろう。
 目を開いたとき、あたりはまだ真っ暗だった。


 明かりはギリギリまで落とされていて、どうにかものの輪郭がわかる程度。

 身体もまだ疲れているし、明らかに間違えて目覚めたっていう感じがする。


(……変な時間に起きちゃったなあ)


 みんな眠りこんでいるのに、自分だけが降ってわいたみたい。

 寝ぼけ眼を片手でこすりながら周囲を見回しても目に入るのは暗い灰色に沈んだ風景ばかりで、もう一度寝ようとベッドに倒れ込む。

 けれど。


「…………?」


 徐々に感覚を取りもどした耳が、ちいさな声を拾いあげた。
 
 苦しんでいるような
 うめいているような悲しい声。


(え……っ!?)


 一気に目が覚めて、私は慌てて身体を起こした。

 幸記くんに何かあったのかもしれないと、手さぐりでベッドを降りて声のほうへと近付く。
 
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