そして消えゆく君の声
保健室の一件から二週間。私と黒崎くんの関係は「半歩前進」から「初期値」に後退していた。
本来の状態に戻った、と言うほうが正しいのかもしれない。
何も話さない、何も話せないまま過ぎていく日々。中間の準備や本番でいそがしくしている間に、怪我のことも聞きそびれてしまった。
ううん。試験のせいじゃない。
同じクラスなんだから話そうと思えばいくらでもできたはず。
それができなかったのは、やっぱり心のなかに怯えが残っていたから。
氷点下まで冷えた視線と嫌悪でいっぱいの声を想像すると足がすくんでしまったから。
(……このままじゃ、保健室のことも話せなくなっちゃう)
しゃべりたい。
自然に話せるきっかけがほしい。
踏み出せない背中を、ほんの少し押してくれるような。
例えば学校の行事とか、同じ用事を言いつけられるとか、黒崎くんのほうから話しかけてくれるとか……は、ありえないけど。
こういう時って、どうすればいいんだろう。
どうすれば、そばにいけるんだろう。
どうすれば……
…………
……
(……なんか私、黒崎くんのことばっかり考えてる)
本来の状態に戻った、と言うほうが正しいのかもしれない。
何も話さない、何も話せないまま過ぎていく日々。中間の準備や本番でいそがしくしている間に、怪我のことも聞きそびれてしまった。
ううん。試験のせいじゃない。
同じクラスなんだから話そうと思えばいくらでもできたはず。
それができなかったのは、やっぱり心のなかに怯えが残っていたから。
氷点下まで冷えた視線と嫌悪でいっぱいの声を想像すると足がすくんでしまったから。
(……このままじゃ、保健室のことも話せなくなっちゃう)
しゃべりたい。
自然に話せるきっかけがほしい。
踏み出せない背中を、ほんの少し押してくれるような。
例えば学校の行事とか、同じ用事を言いつけられるとか、黒崎くんのほうから話しかけてくれるとか……は、ありえないけど。
こういう時って、どうすればいいんだろう。
どうすれば、そばにいけるんだろう。
どうすれば……
…………
……
(……なんか私、黒崎くんのことばっかり考えてる)