そして消えゆく君の声
「なあなあ、お前も来いって」


 空いたスペースに名前を書きこんだ私たちがテストの話で盛り上がっていると、背後からひときわ大きな声が上がった。

 振り返った先には、クリスマス会幹事の橋口くんと、三人の女の子。

 囲まれている生徒の顔は背中にはばまれて見えなかったけど、窓側後ろの角っこは黒崎くんの席だった。


「黒崎さー、前の打ち上げも来なかったでしょ」

「クラスでやることなんだから、たまには参加しなよ」


 詰問口調で話す女の子たちと、困ったように眉をさげる橋口くん。黒崎くんは言葉を発さず、気まずい空気が流れている。

 なんであんなに必死に誘っているんだろうと疑問に思う私の心を読んだみたいに、雪乃が頬杖をついた。


「あれは絶対、お兄さまがたの連絡先を聞きだそうとしてるね。卒業する前に何とかして接点を作りたい、と」

「あの子らも、知りたいならもう少し柔らかい聞き方したらいいのにねえ」


 どっちにせよ厳しいだろうけど、と苦笑する角居ちゃん。

 ゆったりした口調にぴったりの柔らかい髪が、肩口で揺れた。
 
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