そして消えゆく君の声
「一応黒崎も予約にいれとくから、用事ないなら来いよ。こんな風に集まる機会もう無いかもしれないし」

「さっきから聞いてんの?人の話。せっかく誘ってやってるのに」

「あんたっていっつもそうだよね。本っ当に感じ悪い。橋口が気遣かってくれてんのわかんないかな」

「俺のことはいいよ、好きでやってんだから。あ、場所ここな。親戚のやってる店で内装とかは古いんだけど、串焼きがうまくてさ」


 苛立つ女の子達をまるで意に介さずに、橋口くんは喋り続ける。


 顔を上げない黒崎くんに、見ている私のほうがハラハラしてしまう。

 行けないでも行かないでもいいから、何か言ってくれたらいいのに。


 願いもむなしく、黒崎くんは最後まで言葉を発さず、雪乃は最悪と毒づいた。

 反論できない私の前で、黒崎くんは黙々とノートをめくる。


 自分以外、誰も存在していないかのように。自分と周りとを、見えない壁で隔てているかのように。


 背負った罪以外の全てを締め出したいのかもしれない。

 そんな想像が、浮かんで消えた。
 
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