そして消えゆく君の声
 最初は長居しないつもりだった。

 外はもう真っ暗だし、親戚も来ているし、少しだけでいいかなって。

 だけど、いざ話し始めるとまたたく間に時間がすぎていって、ジュースを取りに行く間すら惜しいほどだった。


 初めのうちはテストの出来やクリスマス、年末年始の話が中心だったけど、だんだん彼氏の話に傾いていって。

 ひそひそ声から始まった会話は雪乃のノロケ話をきっかけに盛り上がり始め、角居ちゃんが大学生と付き合っていると暴露した瞬間、最高風速をむかえた。


 どこで知り合ったの、どんな人なの、どっちが告白したの。

 矢継ぎ早に飛ぶ質問に、角居ちゃんはいつも通りのゆったりした口調で答えていた。


 こういうところに彼氏は惹かれたのだろうか。どこか芯のある、揺らがない微笑を見ながら考える。
 
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