そして消えゆく君の声
「今日ね、クリスマス会だったの。知ってる?」

「さあ」


 吹きつける冷たい風が、前髪を煽る。


「橋口くんが言ってたでしょ」

「興味ない」

「興味なくてもあったの。今、カラオケで二次会やってる」

「ああそう」


 会話を断ち切るかのような早口、にべもない言葉には明らかな苛立ちが覗いている。


 無理もない。突然やって来て、こんな話をしているのだから。

 わかっていても、言葉を止めるつもりはなかった。だって約束したから。



 路地を抜け、ガードレール沿いに道を歩く。

 この辺りは高台になっているみたいで、少し先には街を見下ろせる小さな広場が見えた。


 黒崎くんが足を止めた。ずっと腕を掴みっぱなしだったことに気付いたのか、視線をそらしたまま手を離そうとする。


 けれど。

 離れかけた手を、私は強く握りかえした。
 
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