そして消えゆく君の声
 言葉とともに、眼下の風景をのぞむ。 

 低い柵の向こうには、色とりどりの光に飾られた街並みが見えた。

 まばゆく輝く大きなツリー。
 木々を彩る金色のライト。
 波のように流れては消えるイルミネーション。

 そして、家々の窓に灯るあたたかな光。


 この華やかな風景の中には、たくさんの人の生活が存在している。
 
 笑う人、泣く人。
 満たされた人。孤独な人。

 星の数ほどの喜びと悲しみが混ざり合って、空の下で息づいている。幸福も罪悪も、すべて飲み込んで。
 

 それでも。
 
 だからこそ。 

 街は美しかった。
 
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