そして消えゆく君の声
黒崎くんの連絡先を教えてもらったのは、屋上の件から一週間後の放課後だった。
きっかけは、黒崎くんから。
家のことを知ってから上手く話せなくなってしまった私に「前と同じでいい」と言って、何かあったら伝えるからとメールアドレス(メッセージアプリは使っていないらしい)を書いたメモをくれた。
以来、たまに連絡を取り合っている。
……といっても、家の話はほとんどしていない。
私には何もできなくて、ただ、話を聞くのが精一杯で。だから、黒崎くんが何か言わない限りは、私も何も訊かないようにしていた。
本当は、力になりたかった。
でも、その糸口すら見えなかったから。
「えっと……黒崎くんはまだ、かな」
どうにかテストを終えてむかえた午後。駅前で雪乃と別れた私は、ちょっぴり人目を気にしながら小さなカフェに入った。
紅茶が美味しいこのお店は住宅街の真ん中にあるから、どこを見ても学生でいっぱいの駅前とちがって制服姿のお客さんは滅多に来ない。
つまり、人に見られるのが嫌いな黒崎くんにとっては、うってつけの待ち合わせ場所で。
二人でお茶を飲んだ回数は、そろそろ両手が必要になるくらい……だと思う。
きっかけは、黒崎くんから。
家のことを知ってから上手く話せなくなってしまった私に「前と同じでいい」と言って、何かあったら伝えるからとメールアドレス(メッセージアプリは使っていないらしい)を書いたメモをくれた。
以来、たまに連絡を取り合っている。
……といっても、家の話はほとんどしていない。
私には何もできなくて、ただ、話を聞くのが精一杯で。だから、黒崎くんが何か言わない限りは、私も何も訊かないようにしていた。
本当は、力になりたかった。
でも、その糸口すら見えなかったから。
「えっと……黒崎くんはまだ、かな」
どうにかテストを終えてむかえた午後。駅前で雪乃と別れた私は、ちょっぴり人目を気にしながら小さなカフェに入った。
紅茶が美味しいこのお店は住宅街の真ん中にあるから、どこを見ても学生でいっぱいの駅前とちがって制服姿のお客さんは滅多に来ない。
つまり、人に見られるのが嫌いな黒崎くんにとっては、うってつけの待ち合わせ場所で。
二人でお茶を飲んだ回数は、そろそろ両手が必要になるくらい……だと思う。