そして消えゆく君の声
テーブルに置きっぱなしにしていた携帯を手にとって、苦笑しながら画面を見た、瞬間。
「…………!」
私はヒュ、と息を飲んで硬直した。
お世辞にも大きいとは言えない手に馴染むよう選んだ小型の機種の、着信を告げる通知画面。
四角く切り取られた小さな窓の中には、黒崎くんの名前が表示されていた。
(ど、どう、しよう……!)
心臓が、痛いほど強く脈打つ。
ころびそうな足取りで自分の部屋に入って画面を再確認したものの見間違いだったなんてあるはずもなく、流れる軽快なメロディーとは正反対に、私の顔は自分でもわかるほどこわばっていった。
(出、出ないと。夏の予定のことかもしれないし、こっちからかけ直すなんて、もっと緊張するだろうし……)
メッセージなら何回もやり取りをした黒崎くんだけど、電話越しに話したことは、まだ一度もない。
ごくりと唾液を飲み込んで、まるで爆破スイッチでも押すような手付きで緑の通話ボタンに指をかざす。
迷って、深呼吸して。そっと力を込めると、怖気づかないよう精一杯の声を出した。
「はいっ、日原、ですけど!」
「…………!」
私はヒュ、と息を飲んで硬直した。
お世辞にも大きいとは言えない手に馴染むよう選んだ小型の機種の、着信を告げる通知画面。
四角く切り取られた小さな窓の中には、黒崎くんの名前が表示されていた。
(ど、どう、しよう……!)
心臓が、痛いほど強く脈打つ。
ころびそうな足取りで自分の部屋に入って画面を再確認したものの見間違いだったなんてあるはずもなく、流れる軽快なメロディーとは正反対に、私の顔は自分でもわかるほどこわばっていった。
(出、出ないと。夏の予定のことかもしれないし、こっちからかけ直すなんて、もっと緊張するだろうし……)
メッセージなら何回もやり取りをした黒崎くんだけど、電話越しに話したことは、まだ一度もない。
ごくりと唾液を飲み込んで、まるで爆破スイッチでも押すような手付きで緑の通話ボタンに指をかざす。
迷って、深呼吸して。そっと力を込めると、怖気づかないよう精一杯の声を出した。
「はいっ、日原、ですけど!」