私が本物の令嬢です!

「お優しいご令嬢ですね。このような心の美しい方が嫁いでくださるとは、我々も嬉しい限りです」
「そうですわね。公爵家と伯爵家は益々発展していくことでしょう」

 セオドアの両親は嬉しそうに微笑んで言った。


 フローラは酷く惨めになった。

 まるで陳腐な演劇を見せられているようだ。
 マギーは使用人にも寛大な心を持ち合わせている優しくて美しい令嬢。
 そのように、公爵家には見えていることだろう。


「もうあなたは下がりなさい。公爵家の人々が帰られるまで、倉庫で掃除でもしているといいわ」

 先輩使用人にそう言われて、フローラはダイニングルームを出ていった。


 ちょうどよかった。
 これ以上、あの空間にはいたくなかったからだ。

 部屋を出た瞬間、フローラは目に涙を浮かべた。
 そして、誰にも見られないように、急いで屋敷の外へ出た。


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