私が本物の令嬢です!
4、俺は罪深いことをしている【セオドア視点】
なんということだろう。
寄りにもよって、使用人の娘に目を奪われてしまうとは。
セオドアはあのときあの庭で出会った女のことが忘れられずにいた。
古い衣服を身につけ、まったく着飾ってもいないのに、内面からあふれ出るオーラに圧倒された。
彼女が使用人なのか?
あれはどう見ても貴族の娘だ。
貧相な格好をしても、本物の貴族なら内面から滲み出るオーラを隠すことはできない。
もしや、どこかの令嬢なのかもしれない。
理由があって使用人をしなければならないとか。
そういう話はいくつか聞いたことがある。
没落した貴族が平民になっても、やはり貴族の頃の面影があるというものだ。
いや、しかし問題はそこではない。
「ああ、俺はなんということを……」
自分からフローラに求婚をしておきながら、別の女に心を奪われてしまったようだ。