私が本物の令嬢です!

 一緒にお菓子を食べて、たくさん話をした。
 フローラは木登りをするような子だが、言葉遣いはきちんとしており、教養もあった。
 書物もよく読むらしく、多くの知識を持っていた。

 セオドアは思わず求婚したのだった。
 そうしたら、フローラは驚いたが、笑顔で答えた。


 ――嬉しいわ。約束ね。私たち、大人になったら結婚しましょう――


 フローラ……。
 好きだ。
 あの頃からずっと、君のことを忘れたことは一度もない。
 君にもう一度会う日まで、しっかり教養を身につけ、誰が見ても恥ずかしくないほど立派な男になって君を迎えに行く。

 そう、心に誓って生きてきた。
 それなのに……。


 セオドアの脳裏に使用人の女の顔が浮かび、彼は軽い悲鳴を上げて飛び起きた。
 まだ夜も明けない。
 静かな寝室で、彼は荒い呼吸を整えながら苦悩した。


「くそ……俺は最低な男だ!」

 セオドアは自分を責め続け、ついに他人の力を借りることにした。

 彼の友人に魔法師がいる。
 もしかしたら、この煩悩を消し去ってくれる術があるかもしれない。

 セオドアは彼にこのことを相談することにした。
 

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