私が本物の令嬢です!
マギーは真っ赤なドレスを着ていて、フローラを見るなり嫌な顔をした。
「まあ、汚らしい。身分不相応なくせに公爵さまと結婚できると本気で思っているのかしら?」
フローラは唇をかみしめる。
「お父さま、私が公爵さまと結婚できるのよね?」
明るく質問をするマギーに対し、伯爵は笑顔で答える。
「ああ、そうだよ。私の一人娘であるお前が公爵夫人となるのだ」
「まあ、素敵だわ」
フローラはマギーを睨みつけて叫ぶ。
「公爵さまはあなたではなく、私に求婚したの。今までは何をされても我慢してきたけど、これだけは譲れないわ」
必死に訴えるフローラを、マギーは冷たく見やり、テーブルの上のワインボトルを手にして、それをフローラの頭にぶっかけた。
「あははは、嫌だわ。ワインをこぼしてしまったわね。これ、とっても高いのに」
「心配しなくていいわ、マギー。フローラに罰を与えれば済むだけのこと。この子は使用人なのだから」
「それもそうね、お母さま」
全身ワインまみれになったフローラはふたりを睨みつけた。