私が本物の令嬢です!
「とにかく濡れた服を乾かさないと。グレン、この子にシャワーを使わせてあげてほしい。それと、着替えもあるか?」
「女物の服なんかねぇよ。俺の黒衣くらいなら貸してやるけど」
グレンはそう言って真っ黒でぶかぶかの黒衣を差し出した。
「服が乾くまでひとまずこれで。ごめんね」
と困惑の表情をするセオドア。
しかし、フローラは笑顔でふたりに礼を言った。
思いがけずセオドアと近づくことができて、フローラは胸が高鳴り緊張していた。
あの不審者だと思った男も悪い人ではなさそうで、少し安堵した。
シャワーを浴びたあと、黒衣を着ると本当に大きすぎて、歩くと床に裾を引きずってドレスみたいだった。
セオドアは、フローラの足の怪我にグレンからもらった薬を塗って、丁寧に包帯を巻いてくれた。
そしてグレンは温かいスープをくれて、フローラは生き返った気分になった。