私が本物の令嬢です!

「ごめんね。きっと辛い思いをしたんだろうね。無理に言わなくていい」

 セオドアは優しく声をかけてくれる。
 グレンは眉をひそめて、ため息をついた。


「厄介な術をかけられているな。俺の力でもすぐに元に戻せないし、真実がはっきりしないと犯人の特定もできない」

 グレンの言葉にフローラは落胆する。
 セオドアがそばで優しく背中を撫でてくれた。
 それだけが、救いだった。
 だが、グレンは容赦ない言葉を放つ。


「あんたとナスカ家の令嬢は、髪と瞳の色が一緒なんだなあ」

 フローラはどきりとして顔を上げた。
 そこには真顔で見下ろすグレンの顔がある。
 グレンはそのまま訊ねる。


「もしかして双子の姉妹だったりしてね?」
「い、いいえ……」

 フローラはおずおずと答えた。
 グレンは次々と質問をする。


「あんたは北部の出身だよな?」
「いいえ」
「趣味は狩り?」
「いいえ」
「昨日は鴨肉のローストを食った」
「いいえ」

 身に覚えのない質問を繰り返され、フローラはすべて否定をする。


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