私が本物の令嬢です!

「気に入らないわ! 公爵さまは普通の客とは違うのよ。このフローラの夫となる方よ。こんなテーブルで公爵さまと晩餐なんて出来ないわ。あんたたち、どこまで無能なのよ!」

 令嬢の前で頭を下げる使用人たちは全員、頭からワインをかぶって濡れている。
 そして、テーブルクロスが不自然に引っ張られた状態で、皿やグラスがすべて床に飛散していた。


「昨夜、から……私たち、苦労して……」

 使用人のひとりが嘆くと、マギーは彼女の髪を引っつかんだ。


「苦労? 当たり前じゃない。あんたたちは平民よ。この伯爵家で働けるだけいいと思いなさいよ。まさか、悠長に寝ていたんじゃないでしょうね? このフローラをバカにするのもいい加減にしなさいよ!」
「も、申しわけござ……」
「さっさと新しい部屋にテーブルを用意して。もっと豪華にするのよ。今夜の晩餐までに間に合わなかったらお前たち全員給料なしで首よ」
「そ、そんな……!」


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