私が本物の令嬢です!
セオドアはいてもたってもいられなくなり、静かに入室した。
すると、驚いたマギーが慌てふためきながら笑顔を返した。
「公爵さま、このようなところに……お見苦しいものをお見せしましたわ。使用人がせっかくのテーブルを台無しにしてしまって……」
一部始終を見たわけではないので、何も言えない。
だが、ひとつだけ言えることがある。
「令嬢、あなたは以前、失敗した使用人に優しく声をかけられていましたね。あのときのあなたを見て、僕はとても感心したのですが?」
セオドアはちらりと疑いの目をマギーに向ける。
すると、マギーは慌てて使用人から離れ、ドレスを整え、髪をかきあげた。
「あのときは、わたくし自身に起こったことですので構いませんでしたが、今回はお客さまが晩餐をする部屋での失敗ですから。少し叱ることも主人として当然のことでしょう?」
マギーは気持ち悪い笑みを浮かべながらセオドアの様子をうかがう。
セオドアは深いため息をついた。