私が本物の令嬢です!

「令嬢、使用人は奴隷ではありませんよ。僕たちと同じ人間です。彼らにも人権がある。叱るにしてもこのような振る舞いはいかがなものかと?」

 セオドアは頭からワインまみれになった使用人たちと、床に散らばった食器類を眺めて言った。


「あなたたち、すぐに片付けて新しい部屋に晩餐の準備をするのよ」

 マギーの言葉に使用人たちは狼狽える。


「し、しかしお嬢様。人手が足りません」
「何ですって? 甘えるんじゃないわよ」

 マギーが怒りのあまり手を上げようとする。
 だが、彼女はセオドアが見ていると思い、歯を食いしばって耐えているようだった。

 そのときだ。
 入室してきた使用人が、声を張り上げたのは。


「私がすべて片付けます。先輩方は晩餐のご準備を」

 セオドアは驚き、目を見開いてその人物を見据えた。


 フローラ……!
 なぜ、ここに!?




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