私が本物の令嬢です!
「公爵さま、晩餐の時間まで私がお庭をご案内いたしますわ」
マギーはそう言ってセオドアの腕をつかみ、部屋を出ていく。
セオドアはその際、少し振り返り、わずかに微笑んだ。
それが、自分に向けられたものだとわかり、フローラは黙って口もとに笑みを浮かべる。
彼がいてくれたら、どんな辛いことも乗り越えられる気がした。
フローラは散らかった部屋を片付け、さらには晩餐の際も手伝いに駆り出された。
晩餐の席でマギーはまたフローラに大恥をかかせるつもりだったようだが、フローラはそれを察して軽やかに回避し、完璧な給仕を行った。
それが気に食わない先輩使用人はフローラをこっそり裏庭に呼び出し、難癖をつけて彼女を罵倒し、手を上げようとした。
だが、その現場をセオドアに見られてしまい、先輩使用人は逃げるように走り去った。