私が本物の令嬢です!
「なぜ、戻ってきたんだ? グレンの屋敷にいれば君は嫌がらせを受けることもないだろうに」
セオドアの問いに、フローラは微笑みながら答える。
「私はもう、逃げも隠れもしたくないのです。それに、私はそれほど清廉潔白な人間ではありません。マギーのことも、父のことも、先ほどの先輩のことも、周囲の者たちのことも、許せない。私はこのまま泣き寝入りなんてしたくありません」
フローラは強い眼差しをセオドアに向ける。
このままやられっぱなしで逃げるなんて嫌だった。
「俺が見ていないところで、君は相当酷い目に遭わされているようだな」
とセオドアが言った。
フローラは静かに笑みを浮かべ、そして彼に笑顔を向ける。
「私はもう以前のような弱い人間ではありません。あなたと魔法師さんのおかげです」
己の立場に嘆くばかりで何も行動を起こさなかった過去の自分とは決別したのだ。