私が本物の令嬢です!
10、私が正統な伯爵令嬢よ【マギー視点】
「マギー、なぜあんなところで違法煙草を吸っていたんだ? 人にバレてしまっては伯爵家は終わりだぞ」
マギーが伯爵邸の外でこっそり違法煙草を吸っていたことに、伯爵は激怒して怒鳴りつけた。
伯爵夫人が慌てて訂正する。
「あなた、この子はフローラでしょう。間違えないで……」
「今はそんなことどうでもいい!」
伯爵は怒りのあまり頭に血がのぼっているのか、体裁を忘れている。
マギーは歯を食いしばり、伯爵を睨んだ。
なぜ、私が怒られなければならないの?
水路に落ちて足を怪我したのに。
幸いかすり傷で済んだが、骨折していたら大惨事になるところだ。
「お父さまも吸っていらっしゃるでしょう? なぜ私は駄目なのですか?」
マギーが言い返すと、伯爵はさらに声を荒らげた。
「部屋で吸えばいいだろう! 今後は外で吸うことは禁じる!」
「だったら、もっと香りの強い香水やお花で部屋を飾ってください。煙草の匂いがする部屋に寝泊まりなんてできませんもの」
「うるさい。今後は喫煙を禁止する。公爵家に嫁ぐ身なのだぞ。このことがバレたら破談になるぞ!」