私が本物の令嬢です!

10、私が正統な伯爵令嬢よ【マギー視点】


「マギー、なぜあんなところで違法煙草(ヘドニラ)を吸っていたんだ? 人にバレてしまっては伯爵家は終わりだぞ」

 マギーが伯爵邸の外でこっそり違法煙草(ヘドニラ)を吸っていたことに、伯爵は激怒して怒鳴りつけた。
 伯爵夫人が慌てて訂正する。


「あなた、この子はフローラでしょう。間違えないで……」
「今はそんなことどうでもいい!」

 伯爵は怒りのあまり頭に血がのぼっているのか、体裁を忘れている。
 マギーは歯を食いしばり、伯爵を睨んだ。

 なぜ、私が怒られなければならないの?
 水路に落ちて足を怪我したのに。

 幸いかすり傷で済んだが、骨折していたら大惨事になるところだ。


「お父さまも吸っていらっしゃるでしょう? なぜ私は駄目なのですか?」

 マギーが言い返すと、伯爵はさらに声を荒らげた。


「部屋で吸えばいいだろう! 今後は外で吸うことは禁じる!」
「だったら、もっと香りの強い香水やお花で部屋を飾ってください。煙草の匂いがする部屋に寝泊まりなんてできませんもの」
「うるさい。今後は喫煙を禁止する。公爵家に嫁ぐ身なのだぞ。このことがバレたら破談になるぞ!」


 

< 54 / 97 >

この作品をシェア

pagetop