私が本物の令嬢です!

 マギーは驚愕し、母親に抱きついて泣き叫ぶ。

「ああああっ! お母さまぁ! お父さまがぶったわ!」
「あなた、娘を叩くなんて酷いわ。嫁入り前なのに」

 非難する夫人に対しても、伯爵は声を荒らげた。


「お前たちこそ自分たちの身の程をわかっているのか? 平民出身のくせに、私がいなければお前たちは露頭に迷って今頃死んでいるぞ。せっかくフローラを排除してやったのに、これならフローラのほうが大人しい分マシだったな!」
「ひ、酷いわ、お父さま! 私がフローラよ! 生まれたときから私がこの家の令嬢なのよ!」

 泣きながら訴えるマギーに、伯爵はふんっと鼻を鳴らした。


「とにかく、結婚するまで大人しくしているんだ。高い金を払って呪術師まで雇って、お前をフローラにしてやったのだ。感謝しろ」

 伯爵は怒りの収まらない顔で部屋を出ていった。



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