私が本物の令嬢です!

「な、何よ。何なのよ! あんた、使用人になったくせにどうしてそんなに偉そうなの?」
「私はただ掃除をしていただけ。あなたから近づいてきたのでしょう? 叩かれる筋合いはないわ」
「は、放しなさいよ!」


 マギーが手を振りほどこうと暴れると、フローラは本当に手を離した。
 すると、その衝動でマギーは後ろに反り返り、そのまま床に尻もちをついて転んだ。


「ぶ、無礼者! 主人になんてことをするの? 誰か、誰か来て、この者に鞭打ちをして!」
「誰も来ませんよ。だって、あなたが命令したのでしょう? あなたの部屋の模様替えを今日中に行うようにって。他の使用人はそちらへ行って手が足りません。だから私がここを掃除しているのです」


 マギーはギリギリと歯を食いしばりながら、逃げるように立ち去った。


 覚えていなさいよ、フローラ。
 私が公爵家に嫁いだあとは、あなたを娼館へ売り飛ばしてやるんだから!



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