私が本物の令嬢です!
アストリウス公爵家の大広間にて。
ナスカ伯爵家との婚約披露パーティが行われた。
上級貴族から下級貴族まで多くのゲストが招かれ、王宮からも祝いの品が送られた。
フローラに成り代わったマギーは薔薇の装飾が施された真っ赤なドレスに身を包み、高価な宝石をたくさんあしらったティアラとイヤリングを身につけて登場した。
次期公爵夫人となるマギーの姿に、ゲストの面々は歓喜にわいた。
マギーは満足げに微笑む。
そう、これよ。
私がほしかったもの。
地位と名誉と財産と、約束された未来。
マギーは父の浮気相手の子として生まれ、貧民街で育った。
妾だった母は父にとってただの遊び相手だった。
けれど、母は話術に長けており、見事に父の心をつかんだ。
父は本妻とその娘に対して愛情はないと言い切った。
そして、本妻が死んだあと、父は妾である母とマギーを家族として受け入れたのだ。