私が本物の令嬢です!

2、偽りの令嬢


 アストリウス公爵が正式に婚姻の申し込みに訪れた日。
 フローラは使用人として出迎えることになった。

「ようこそ、いらっしゃいました。アストリウス卿」
「お待ちしておりましたわ」

 父と後妻がセオドアとその両親、そして公爵家の侍従たちを出迎える。
 マギーは頬を赤らめながら、じっとセオドアを見つめている。


 そんな中、フローラは遠くからセオドアの姿を見ていた。
 黒髪に緋色の瞳は幼少期に会ったときそのままの姿だ。
 すらりと身長が伸びて、男らしい体格になっている。

 フローラは懐かしさのあまり涙が出そうになった。
 しかし、セオドアの視線の先にはマギ―の姿があった。


「公爵さま、フローラです。このたびは私との結婚をお申し出くださり、とても嬉しく思います」

 マギーは両手で軽やかにドレスの裾を持ち、丁寧に挨拶をした。
 本物のフローラは憤りの感情を必死に抑え込んだ。


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