私が本物の令嬢です!

 マギーは初めてフローラに会ったとき、心底憎らしかった。
 何不自由なく生まれ育ったフローラは、眩しいほどのオーラに包まれていた。
 それに対してマギーは、父からの援助があったとはいえ、金遣いの荒い母のせいで食べ物にも困るほどの貧乏暮らしを経験した。

 許せなかった。
 同じ父から生まれた娘でありながら、フローラと自分とではあまりにも境遇が違いすぎる。

 だから、マギーは思った。
 いつか、絶対にフローラの立場を奪ってやろうと。


 そして、ついにその願いが叶った瞬間だった。


「公爵さま、ナスカ令嬢、このたびはおめでとうございます」
「本当にお似合いのおふたりですわ」
「令嬢は本当にお美しい」
「公爵家の益々のご発展をお祈りいたしますわ」

 次々と貴族たちが挨拶に来て、マギーはセオドアのとなりでにっこりと笑顔で対応した。
 セオドアへ顔を向けると、彼は穏やかに微笑んでいる。


 完璧な容姿に穏やかな性格。
 その上、王族の血を引く上級貴族。
 これほどの男が自分の夫になるのだ。



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