私が本物の令嬢です!

 ナスカ家を初めて訪れた日には予想もしなかったこと。
 これほど人生が上手くいくとは思いもよらなかった。


 最高よ!
 私の人生はこれから輝かしいものになるんだわ。
 フローラ、あなたは私の苦労を知ってこれからどん底の人生を歩むのよ。
 大丈夫。心配しないで。
 セオドアさまは私が幸せにしてさしあげるから。


 マギーはにんまりと笑い、ゲストに挨拶をしてまわった。
 パーティが滞りなく進んでいたところ、突如ゲストたちがざわめき出した。
 不穏な空気が流れる様子を察したセオドアがマギーに言う。


「少し会場の外の様子を見てこよう」
「え? では、私も……」
「いや、君はここにいてくれ」

 そう言われて、マギーはその場に残ることにした。
 伯爵と夫人が駆けつける。


「一体、何の騒ぎなんだ?」
 と伯爵が動揺した様子で訊ねると、夫人が答えた。

「何でも、不審者が侵入したらしいですわ」
「なんということだ。おめでたい席だというのに」

 せっかく上手くいっているというのに何事なの?
 とマギーはやきもきした。



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