私が本物の令嬢です!
ゲストたちがざわつく中、突然会場の扉が大っぴらに開かれた。
一同が一斉に目線を向けたそこには、剣を携えた騎士たちがずらりと並んでいた。
「我々は王宮直属の黒騎士団である。この会場に重罪を犯した罪人がひそんでいるので調べさせてもらう」
会場内は動揺に包まれる。
「罪人ですって?」
「一体、何事ですの?」
人々がざわめく中、騎士たちは一斉に会場内を囲んだ。
そして、ゲストの中からひとりの人物が捕らえられ、騎士たちに連れられて公爵の両親の前に差し出された。
その人物を見た公爵の父が狼狽えながら訊ねる。
「グレン、何をしているんだ? いや、違う。君は一体、何者だ?」
「ち、違う……俺は、違うんだ! ナスカ伯爵に命令されて……」
となりでそれを聞いていた伯爵は驚き慌てながら叫んだ。
「そんなことは知らん! 私はこの者のことも知らんぞ!」
「そ、そんな……あなたが魔法師の格好をして私にパーティに出席しろとおっしゃったのではないですか。そうしなければ違法煙草……」
「何を言っているのだ? この男は!」