私が本物の令嬢です!
「偽物はやはり本物にはなれないってことだ。なあ、ナスカ令嬢?」
グレンが嫌みっぽい目を向けると、マギーが驚いてセオドアにくっついた。
「おっしゃっていることがわかりませんわ。公爵さま、私この人が怖いですわ!」
泣きつくマギーに対し、セオドアはいたって冷静に答える。
「ナスカ令嬢、ひとつお聞きしたいことがあります」
「は、はい。何でしょう?」
「あなたは10年前、僕と結婚の約束をした日に、僕にある言葉を教えてくれた。君の好きな言葉だ。それを今、聞かせてはくれないか?」
「は?」
「僕は今、正式な婚約者となる君の口から、そのときの大切な言葉を教えてもらいたいんだ」
マギーは呆気にとられて固まった。
グレンはにやりと笑っている。
セオドアは冷静にマギーを見つめている。
公爵家の面々は黙って見守り、伯爵と夫人はなぜか焦っている。