私が本物の令嬢です!
セオドアがマギーに訊ねた10年前に送った言葉。
それを、フローラが答える。
しかし、口を開こうとしたらマギーに邪魔をされた。
「何なのよ、あんた! 誰か、その者を追い出して! 私の偽物よ!」
マギーの声はよく響いたが、フローラは冷静だ。
周囲はざわめき、セオドアはまったく聞き耳を持たない。
マギーは焦り、両親にすがりつく。
「ねえ、お母さま! 何とかしてよ。せっかくの私のパーティが、あの女に邪魔されてしまうわ! お父さまあっ! 黙っていないで何とか言って!」
マギーの訴えに伯爵は苛立ちを隠さず、怒鳴りつける。
「うるさい! お前はまったく役に立たない! この出来損ないが!」
マギーは父の言葉に驚愕し、母親に泣きついた。
母親はマギーをなだめるが、父に反論することができない。
周囲は皆、フローラに釘付けになっている。
すると、マギーのとなりにいたセオドアは、ゆっくりとフローラに向かって歩いていった。
マギーが慌てて手を伸ばす。
「ま、待って! 公爵さまっ! 私の旦那さま!」