私が本物の令嬢です!

 セオドアは少しだけ振り返り、マギーを睨みつけて言い放つ。

「気安く俺に話しかけるな。偽物令嬢」

 その恐ろしい形相に、周囲も驚き、マギーは口を開けたまま硬直した。
 セオドアは真剣な表情でゆっくりと歩いていき、フローラの前に立った。
 そして、彼は表情を緩めて次第に笑顔になる。
 彼の優しい眼差しの先には、本物のフローラがいる。


「君の好きな言葉をここで聞いてもいいか? あのとき、俺に教えてくれた言葉を」

 フローラはうなずいて、微笑みながら答える。


「外面をどんなに偽っても、その心だけは真実です。どれほど豪華な宝石を身につけても、どれほど美しく着飾っても、心の貧しさを隠すことはできません。その逆もしかり」

 フローラは目に涙を浮かべながら、セオドアに笑いかける。


「どれほど貧しい姿になっていても、内面のオーラを隠すことはできません。たとえ、10年後にあなたが変わっていたとしても、私はあなたを必ず見つけるわ」

 それを聞いたセオドアは破顔し、すぐさまフローラを抱き上げた。



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