私が本物の令嬢です!

 フローラは床にぺたりと座り込んだマギーを見下ろした。
 そして、マギーが初めて伯爵家に来たときのことを思い出していた。

 あの頃、母親を失ったばかりのフローラは家族が増えることが嬉しかった。
 どんな理由があれども、妹ができるということが新鮮だった。

 マギーとは血のつながりがある本当の姉妹。
 仲良くしたかった。
 町で見かける兄弟や姉妹のように、一緒に買い物をしたり、美味しいものを食べたり、女同士のおしゃべりをしたり。

 そんな淡い夢を一瞬でも、抱いたのだった。


 可哀想なマギー。
 でも、あなたを許すことなどできないわ。


 フローラは妹に対する同情心をすべて捨てた。



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