私が本物の令嬢です!
「私が本物なのよおおおっ!!!」
マギーの叫び声が会場内に響く中、周囲の視線がそちらへ向いているあいだにゲートは騎士たちに魔法で攻撃し、逃げ出した。
「申しわけございません、グレンさま!」
と狼狽える騎士に、グレンは冷静に言う。
「ああ、いいんだ。逃げてもらうつもりだったから」
「は? はぁ……」
グレンはセオドアに目配せして、自分はゲートを追いかける。
そして、庭園の中を逃げ回っていたゲートに魔法で先回りし、彼の前に立った。
「フローラ・ナスカにかけられた術を解け」
「へんっ! あれは呪いの術だ。一度呪われた人間は二度と元には戻らない。術者であるこの俺を殺さない限り、永遠に呪いは続くだろう。へへへへっ! はははははっ!」
高笑いをするゲートに対し、グレンは情もない声で冷たく言い放つ。
「じゃあ、死ね」
ドンッと派手な音がして、砂煙が上がった。
庭園にいる人々は何事かと音のするほうへ目を向けるが、そこには何もない。
性格にはグレンの魔法で壁を作っていて、魔力を持たない人間からは見えないようになっている。
「く、くそっ!」
ゲートは呪術を繰り出すが、グレンはすべて弾き返す。
仕方なく、ゲートは逃げ出した。
グレンは冷静に、彼のあとを追った。