私が本物の令嬢です!

「お前は私の子ではないのだ! あの男が、リリアを孕ませたのだ! そうだ。私の前妻リリアは元恋人と不倫をしていたのだ! 私は被害者だ!」

 フローラは伯爵に顔を近づけて、じっと見上げる。
 伯爵は嫌悪の表情でフローラを見下ろした。
 フローラは静かに語りかける。


「お父さま、不本意ながら……私はお父さまの子で、間違いありません。私も、マギーも……」

 フローラは話している途中でガクッと膝が折れた。
 そのまま倒れそうになるフローラをセオドアが支える。


「フローラ、まだ呪いが解けていないんだ。無理しては……」
「平気、です……言わせて、ください……」

 真実を語ることを禁じる呪術である。
 これ以上話すと呪いに殺されてしまうかもしれない。
 それでも、フローラは自身の口から、今この場で話したかった。 


「私たちは、母親ではなく父親似です! 使用人さえ、私とマギーを見間違えたのですから」

 震え声で、精いっぱい、父である伯爵に訴える。


「わたしは……フローラです! お父さまと、お母さまの子であり……ナスカ伯爵家の令嬢です!」

 フローラは力いっぱい叫び、その場に崩れ落ちた。


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