私が本物の令嬢です!
「いやあああああああああっ!!!」


 マギーは気が狂ったように泣き叫びながら伯爵に突進した。
 マギーが握った剣は深々と伯爵の懐へ沈んでいく。


「あ……うそっ……お父さま……」

 マギーは自分が刺した剣を慌てて抜いた。
 伯爵は「ぐはあっ」と血を吐き、腹から血飛沫を吹きながらその場に倒れ込む。


「いやあああっ! 私のせいじゃないわ! 私は悪くない! お父さまのせいよおぉっ!!!」

 マギーの泣き叫ぶ声など伯爵の耳には聞こえない。
 だが、異変を感じた御者が馬車を止めたせいで、マギーは悲鳴を上げながら急いで馬車を降りた。
 伯爵も血まみれの状態で馬車を降りたが、すぐに地面にうつ伏せで倒れる。

 意識が朦朧としていく彼の目の前に、ひとりの女が立っていた。
 マギーではない。
 純白のドレスを着た赤毛の女だ。
 伯爵は目を見開いてその女を見た。そして、震え声を出す。


「リリア……!」




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