私が本物の令嬢です!

「可哀想なお父さま」
 と頭上から声がした。

 伯爵は目を見開き、顔を上げた。
 そこに立っていたのはリリアではなく、フローラだったのだ。
 フローラは冷たく見下ろしながら言い放つ。


「お父さま、私は思い出しました。お母さまは病気じゃなかった。お父さまに……あなたに、監禁されていたんだわ。ろくに食事も与えられず、毒か何かを少しずつ飲まされて……だんだん弱っていったのよ」

 伯爵は声も出せず、ただフローラを睨みつける。
 フローラも伯爵を睨み、蔑むような目で見下ろす。


「あなたはお母さまを愛してなどいなかった」

 伯爵の視界は歪み、フローラの姿が見えなくなる。
 そして、彼は意識を消失する瞬間、自分の娘に怨みの言葉を残した。


 くそっ……生意気な娘だ。
 お前さえ、生まれてこなければ……。

 リリアは私のものだったのに。




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