私が本物の令嬢です!
フローラは「ありがとう」と言って微笑んだ。
そして、虚ろな表情で淡々と語った。
「父は最期まで反省の色を見せることはありませんでした。すべて自分が正しいと思い込み、自分に都合のいいように物事を進め、何かあれば他人に責任転嫁し、あげく邪魔な者は排除したのです」
フローラは父を看取ったときのことをふたりに話した。
許しを請うのかと思えば、結局最後まで実の娘を恨んで死んでいったのだ。
「私は……最初から最後まで、実の親に憎まれていたのですね」
フローラはすべてを諦めたような陰鬱な表情で言った。
セオドアは彼女の肩を抱いて微笑む。
「だが君は、実の母には愛されていたはずだ。それは俺が一番よく知っている」
セオドアの言葉を受けて、フローラは昔の記憶を鮮明に思い出した。