私が本物の令嬢です!
黒い影は稲光に照らされ、ぼろぼろの格好になったマギーの姿が現れた。
「あ、あんたのせいよ……私の、地位も財産も、恋人も! すべてを奪ったあんたが憎い!」
「おかしなことを言うのね。伯爵家の令嬢として先に生まれたのは私よ。あなたにもその権利はあるけれど、それは私を蔑ろにして手に入れるべきものじゃないわ」
「黙れええっ!! お前さえいなければ、私がすべてを手に入れられたのに!」
「はぁ……何を言っても無理ね。もう話すことはないわ」
フローラが布団をめくって立ち上がろうとすると、マギーが襲いかかってきた。
「死ねえっ! この偽物めええぇっ!!!」
薄ら笑いを浮かべながら刃物を振り上げたマギーの腕が突如静止した。
「えっ……な、動かない……どうして!?」
マギーの腕は岩のように硬直している。
だが、マギーは必死に身体を動かしながらぎゃーぎゃー騒いだ。
「いやいや無理だから。どれだけ抵抗しても俺の術にあんたが敵うわけないじゃん」
片手をかざしたグレンが笑いながら言った。