私が本物の令嬢です!
マギーはグレンを睨みつける。
「卑怯者! 背後から不意打ちするとは、あなたは腐ってる!」
「え? それ、あんたが言う?」
グレンはきょとんとした顔で返した。
その背後からセオドアが現れると、マギーは急に明るい表情になった。
「セオドア! 私よ、フローラよ! 早く助けて!」
マギーのすがりつくような声に、セオドアはうんざりした顔をした。
「私はあなたと結婚するの。公爵夫人になるのよ。待ってて。この邪魔者を始末してすぐにこの家を取り戻すから! 」
マギーの言葉に全員が呆れ顔になった。
フローラは静かに問いかける。
「マギー、この家を手に入れてどうなるというの? ここはもう伯爵家ではなくなったのよ」
マギーは振り返り、フローラをぎょろりと睨む。
「負け犬が何を言うのかしら? ここは私の家よ。伯爵令嬢である私のお屋敷なのよ!」
「残念だけど、この屋敷はもう別の者に渡るの。ナスカ伯爵家は没落したのよ」