私が本物の令嬢です!

「え……あはは……何を、言うの? ナスカ家は財産もたくさんあって……そうよ、お父さまの遺産だってあるんじゃない? お金ならいくらでもあるわよ。ひとり占めする気なのね、フローラ。この盗人め!」

 フローラは嫌悪の表情でマギーを見据える。


「お父さまを殺したのはあなたよ。よくもそんなことを堂々と言えるわね。あなたは捕まって監獄行きが決まっているのよ」
「うるさい! うるさいうるさい! 私は伯爵令嬢よ。この家で美しいドレスを着て、豪華な食事をして、優雅な生活を送って、公爵家に嫁ぐのよ!」

 話にならないと思ったのか、フローラはもう何も言わず、黙って首を横に振った。


「私がこの家の令嬢なのよおおおっ!!!!!」

 大きな落雷とともにマギーの声が屋敷中に響きわたる。
 その後すぐ護衛騎士たちに取り押さえられ、マギーは連れられていった。
 マギーは最後まで「私は伯爵令嬢よ!」と叫び続けていた。


 こうして、すべてが終わったのは、冬の気配が近づく頃だった。




< 92 / 97 >

この作品をシェア

pagetop