私が本物の令嬢です!
セオドアはフローラを抱きしめる。
ちょうど夕暮れの光が窓から差し込み、ふたりのいる書斎をオレンジ色に包み込んだ。
セオドアはゆっくりとフローラの髪を撫でた。
「俺は幸せなんだ。君と可愛い子供たちに囲まれて、この10年はいろいろ大変なこともあったが、幸せなことのほうが多かった。君が生きている。それだけでどれほど救われたことか」
セオドアからのこの話は何度も聞いた。
フローラが出産時に命を落としていたら、セオドアは今のような生活はできなかっただろうと話す。
それでも、彼の性格なら娘たちはきちんと育てただろうけれど。
「子供たちのことは本当に愛しているし、可愛いと思っている。だが、せっかく再会できた君とわずか2年で別れることになっていたら、俺は気が狂ってしまうほど悲しんでいたことだろう」
フローラは彼に抱きしめられながら「セオドア」と名前で呼んだ。