おいらんっ道中らナイス!
初夜
 その晩。

三人で、夕食を終え。


 お風呂をいただいた忍が。

「あのー?」

おずおずと、
旦那さんの書斎をたずねると。



「ああ
 ごめん、ごめん、
 客間に寝床は整えたんで、

 使ってください!

 あなた。
 働きすぎですヨ、

 少し休めて。」


「…あのう??」


「ああ
 言い忘れてましたワタシ。
 もの書き

 作家をしてるんです。


 貴女にはー。
 助手というか

 使い走りというかー…


 そうっ!書生

 書生になって
 頂きたいんです!

 時代は、
 これから、どんっどん

 変わりマス!

 いつでも
 海を越え世界を渡れるよう、
 まずは。
 羽根を準備しておかなければ!


 思う存分
 勉強して下さい!」


「ーはあ。」


「それにね

 わたし。
 妻に先立たれまして。

 嫌なんデス。
 もう

 愛する人と、
 お別れするのは。」



旦那さんは。

そこまで話すと、
にっこり笑い



「だからー

 あちらの方は
 もっぱら遊廓がよいデス。


 お気になさらず。」
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