おいらんっ道中らナイス!
詰め込み
 翌日から

忍は日課として書き取り。

畳机に、
正座し。

手習い帳を書写した。



『まずしさって
 いつしるの?
 わたしは
 かぞくの
 なきがおでしった

 みじめさって
 いつしるの?
 わたしは
 よそでおそわった
 わたしはしらなかった』



 旦那さん

先生は、
邪魔をせぬよう。

時たま、そっと。
背後に立ち。

腕組みをして覗きこんでは

満足そうに、
うなずいていた。



 あとこれもまた忍の日課として

先生に連れられての、
毎日の散歩があった。


 はじめ、
町の人はひそひそと。
何やら、
囁き合っていた。


 しかし、
先生が、堂々と。

意にも介さぬ風なので
忍も
堂々としていた。


挨拶だけは、
漏らさずにした。



 それより
その毎日の散歩の最中

目にし。

手にする
様々な物ものを。


 先生の注釈を聴きながら、
よーく観察をして歩く


大切な時間、だった。


 先生は、
一枚の葉っぱを手に取り。

人の血管のようなものだ、
と、
葉脈を指でなぞってみせたり。

柔らかい陽の光に透かせてみれば、
明るく。

でも
ホラと。

強い陽の光にかざした時、
それは、

影で真っ黒に見える事を、
見せてくれ。



表現は、

ひとつでなく沢山あることを、

説明してくれた。
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