推し作家様、連載中につき。
「じゃあまず未理から話して。これは、なに」
「えっとそれはね……」
拾った経緯、個人的な見解、それら諸々を話す。
すると羽花ちゃんは大きなため息をついて「あ、そう」と言葉を落とした。
「絶対馬鹿にしてるじゃん! だから言いたくなかったんだよ…!」
「別に馬鹿にはしてないって。夢みることは大事じゃん」
「ほらー! 馬鹿にしてる!」
乾いた笑いを洩らす羽花ちゃん。まあどのみち期待はしていなかったけれど。
「で、なんて名前の先生なの? いい加減教えてくれてもいいんじゃない?」
「え!? 言ったことなかったっけ!?」
「だっていつもはあんたが興奮しながら言葉ミサイルぶち込んでくるから、訊く暇なんてないじゃない」
「それは失礼しました! 私の推しは名高先生です!」
そう告げた瞬間、羽花ちゃんの顔がピキリと固まったような気がした。
けれどそれは一瞬のこと。
あまりにも一瞬だったので、気のせいだろうと流すことにした。