推し作家様、連載中につき。

「え、いったいどういうこと?えっと、通話アプリの相手が先生で、っていうか二人ってそういう…?」



ぐるぐる、ぐるぐる。


いろんな仮説がそんな音を立てながら頭の中を回っているのがわかる。


いや、私の目がおかしいのかもしれない。


たぶん、目元が似ているとか、雰囲気がそれっぽいとか、そんな理由で勝手に結びつけてしまっただけだ。


危ない。

焦っても良いことはなにひとつないのだから。



もう一度ゆっくりと視線を動かして、先生"もどき"を見る。



「え…」



けれどやはり、何度見ても先生……我が高校の数学教師・田中先生にしか見えないのだ。


ついに目まで狂ってしまったか、と半ば諦めのような思いが生まれる。


こんなところまで数学に侵食されなければならないのか。本当に勘弁してほしい。



「だめだ羽花ちゃん、私完全に数学に侵されてる。すみません、あなたが数学教師にしか見えないという感覚麻痺により、取り乱してしまいました」



ぺこぺこと謝罪をし、ため息をついて退散しようとしたのだけれど。
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